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相続全般について、Q&A形式でご案内いたします。
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Q1 相続が開始するのはどんなときですか。
A 民法上、相続は「死亡によって開始する」と規定されています。
また、死亡したことが客観的に不明確な者(例 ①7年間生死不明の不在者 ②船舶が沈没し、その後1年間生死不明の者)は、家庭裁判所の失踪宣告により死亡したものとみなされ、この失踪宣告によって相続が開始されます。
なお、失踪宣告を受けた者は、①のケースでは失踪してから7年経過後に、②のケースでは船舶が沈没し、その危難が去ったときに、それぞれ死亡したものとみなされます。
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Q2 法定相続人には、相続人となる順位(順番)があると聞いたのですが、それはどのような順位ですか。配偶者は何番目の順位になるのですか。
A ① 第1順位は、子(子がすでに死亡している場合等は孫等)となります。なお、養子と実子では相続分に違いはありませんが、非嫡出子(婚外子)の相続分は、嫡出子の2分の1となります。
② 第2順位は、父母、祖父母などの直系尊属です。実親・養父母とも相続人になります。親等の異なる者がいる場合(例 父(一親等)及び祖父(二親等)がいる場合)、親等が近い者(この場合は父)が相続人になります。
③ 第3順位は、兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合等はその子)となります。なお、兄弟姉妹が複数いる場合、被相続人と父母の一方のみを同じくする者の相続分は、父母の両方を同じくする者の2分の1となります。
④ 配偶者は常に相続人となり、その順位は上記各相続人と同順位となります。
なお、配偶者の法定相続分は以下のとおりです。
ア 相続人が配偶者及び子(又は孫等)の場合→2分の1
イ 相続人が配偶者及び直系尊属の場合→3分の2
ウ 相続人が配偶者及び兄弟姉妹の場合→4分の3
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Q3 次の各ケースで、各法定相続人の法定相続分はどのようになりますか
ケース1 被相続人(甲)に、配偶者(乙)、長男(丙)及び婚外子(丁)がいた場合
ケース2 被相続人(甲)に、配偶者(乙)、父(丙)及び祖母(丁)がいた場合
(被相続人に子(又は孫)がおらず、その父及び祖母がいる場合)
ケース3 被相続人(甲)に、配偶者(乙)、兄(丙)及び母親が異なる弟(丁)がい
た場合(被相続人に子(又は孫)がおらず、また両親、祖父母等直系
尊属もいない場合)
A 上記各ケースにおける法定相続分は以下のとおりです。
ケース1 乙の法定相続分は6分の3、丙は6分の2、丁は6分の1
ケース2 乙の法定相続分は3分の2、丙は3分の1
ケース3 乙の法定相続分は12分の9、丙は12分の2、丁は12分の1
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Q4 法定相続人が相続人になれないことがありますか。
A ① 相続人が以下の相続欠格事由に該当する場合、相続人となることはできません。
ア 故意に被相続人又は相続について同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者。
※ したがって、交通事故等過失により死亡に至らせた場合は該当しません。
イ 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発又は告訴しなかった者。
ただし、相続人が成年被後見人や幼児などで是非の弁別能力がない場合は該当しませんし、殺害者が相続人の配偶者又は直系血族の場合も該当しません。
ウ 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取消し、又は変更することを妨げた者
エ 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取消させ、又は変更させた者
オ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し又は隠匿した者
② 遺留分(Q9参照)を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人になるべき者)が、被相続人に対し虐待をしたり、重大な侮辱をするなどの著しい非行があったときは、被相続人は家庭裁判所に対し当該推定相続人の廃除を請求できます。
家庭裁判所による廃除の審判が確定することにより、当該推定相続人は相続権を失います。なお、この廃除の意思表示は遺言によっても可能です。
また、被相続人は、いつでも推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます。
(遺言による取消しの意思表示も可)
③ 相続欠格や廃除により相続権を失った者の子等は、代襲相続により相続人となります。
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Q5 相続の対象となる財産とは具体的にはどのようなものですか。
A 相続が開始したことにより、相続人は被相続人の財産に属した一切の「権利義務」を承継することになります。
すなわち、金銭、不動産、預貯金といった「プラスの財産」の他に借金、保証債務といった 「マイナスの財産」も承継することになります。
(プラスの財産例)
① 土地・建物等の不動産
② 自動車・家具・貴金属等の動産類
③ 現金・預貯金
④ 株式・投資信託等の金融資産
⑤ 特許権、商標権、実用新案権、意匠権等の工業所有権
⑥ 著作権(公表権、氏名表示権、同一性保持権等の著作者人格権を除く)
⑦ 貸金、売掛金、損害賠償請求権等の債権
(マイナスの財産例)
① 借金、買掛金債務、手形債務、保証債務
② 税金
なお、これらの債務は法定相続分に応じて相続するのが原則であり、遺産分割協議により相続人間で各債務の承継者を決めることはできません。例外として、各債権者の同意を得られれば、特定の相続人が債務者となることもできます。
(相続の対象にならない権利義務の例)
① 一身専属の権利義務(身元保証人の義務 委任契約上の権利義務 扶養請求権等)
② 生命保険金の支払請求権(ただし、相続人のいずれかの者を受取人に指定していた場合等)
③ 死亡退職金の支払請求権(ただし、就業規則等に受取人の指定がされている場合等)
④ 祭祀財産(仏具、仏壇、位牌、墓地に関する権利等)
これらの財産は慣習によって祖先の祭祀を主宰する者が承継することになりますが、被相続人が祭祀の主宰者を指定(口頭、遺言等)した場合、この指定に従うことになります。
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Q6 相続を放棄するにはどのような手続が必要になりますか。
A 被相続人の遺産を調査したものの、資産(プラスの財産)より負債(マイナスの財産)の方が明らかに多いようなケースでは、一切の権利義務を承継しないようにするため、相続を放棄することができます。
ただし、自分が相続人であることを知ったときから3か月以内に、相続を放棄する旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
この3か月間のことを熟慮期間ということもありますが、相続財産の調査に時間がかかる場合等、この熟慮期間内に相続放棄するか否かの判断ができないときには、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を請求することができます。
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Q7 相続の限定承認とは何ですか。相続人の内の一人だけが限定承認の手続をすることができますか。
A 被相続人の遺産を調査したところ、資産(プラスの財産)より負債(マイナスの財産)の方が多そうだが、一定の資産もあり一切の権利義務を承継しないことが不都合なケースでは、プラス財産の範囲に限定して、マイナスの財産を承継(相続)することができます。
これを限定承認といいますが、Q4と同様熟慮期間内(自分が相続人であることを知ってから3か月以内。期間伸長の請求可能)に家庭裁判所へ申述(申立て)することが必要です。
そして、上記申述(申立て)は、相続財産目録を作成したうえで相続人全員から行うことになります。
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Q8 寄与分とは何ですか。相続人以外の者でも寄与分の権利がありますか。
A ①被相続人の生前に、相続人が以下のような行為により、被相続人の財産増加・維持若しくは事業の発展に特別な寄与をした場合、共同相続人間の協議により、当該相続人に対して法定相続分に加えて、寄与分を付与することができます。
ア 労務の提供(報酬もほとんどもらわず、農業・商工業等の家業に従事し、被相続人の財産の増加・維持に貢献した場合等)
イ 財産の給付(被相続人に対し、事業上の資金を贈与したり、借入金を肩代わりした場合等)
ウ 療養看護(被相続人の療養看護又は介護により、これらの経費の負担を軽減させた場合等)
なお、当該協議が調わなかったり協議ができない場合、寄与分を有する者(以下「寄与分権者」と記載します。)は、家庭裁判所に寄与分を定めるよう請求できます。
② なお寄与分権者は、あくまで法定相続人(法律上相続権のある者)のみです。したがって、内縁の妻、相続欠格者又は廃除された者等は、寄与分を主張することができませんのでご注意下さい。
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Q9 特別受益とは何ですか。ある相続人が特別受益者に該当する場合、何か手続が必要ですか。
A ① 被相続人から、相続人が以下のような理由で贈与を受けていたり、又は遺贈により財産を取得した場合、当該相続人の相続分が修正(減額)されます。
これら相続人が受けた贈与や遺贈のことを特別受益といいます。
ア 婚姻・養子縁組のための贈与(婚姻の際の持参金、嫁入り道具購入費用等)
イ 生計の資本としての贈与(起業の際の開業資金、住居の購入費用、生活費
の援助)
なお、贈与又は遺贈に該当しない死亡生命保険金については、この給付を受けた相続人と他の相続人との間に著しい不公平が生じれば、特別受益の規定を類推適用して、相続分を修正すべきであるという判例もあります。
② 特別受益者に該当する場合でかつ、遺産分割により財産を取得しない者は、「相続分がない旨の証明書(印鑑証明書付)」を他の相続人の交付すれば、遺産分割協議に参加しなくても済みます。
ただし、相続放棄とは異なり、被相続人の債務は承継することにはなりますので、注意が必要です。
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Q10 遺留分とは何ですか。法定相続人であれば、みんな遺留分権利者となるのですか。
A 民法は、兄弟姉妹を除いた相続人に対し、被相続人の遺産をある一定の割合で相続できる権利を保障しています。この「ある一定の割合」のことを遺留分といいます。
そして、被相続人が、遺言によりある特定の相続人又は相続人以外の第三者(以下「受遺者」と記載します。)に対し、その財産の大部分を相続させ(又は遺贈して)、他の相続人の「遺留分」が侵害されるような場合、侵害を受けた相続人は、当該相続人(又は受遺者)に対して相続(又は遺贈された)財産の返還を求めることができます。
この返還請求のことを遺留分減殺請求といいます。
※ 遺留分減殺の対象となる財産は、遺言により相続(又は遺贈)の対象となったものだけではなく、被相続人が相続開始前の1年間に行った贈与も含まれます。
なお、当事者双方が、遺留分権利者を害することを知っていた場合は、贈与の時期にかかわらず、遺留分減殺の対象となります。(詳しくはQ11参照)
各相続人の具体的な遺留分は、以下のとおりです。
① 相続人が、配偶者、子(孫)の場合→各相続人の法定相続分の2分の1
② 相続人が、直系尊属(父母等)のみの場合→各相続分人の法定相続分の
3分の1
なお、相続人が配偶者と直系尊属の場合、①の規定を適用し各相続人の遺留分は 法定相続分の2分の1となります。
また、兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹には遺留分がありません。
(配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、配偶者には遺留分があります。)
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Q11 遺留分の減殺請求権は、受遺者(又は遺言に基づき財産を取得した相続人)に対してのみ行使できるのですか。また、相続開始後であれば、いつでも行使できるのですか。
A 遺留分権利者は、以下の事由により財産を取得した者に対し、減殺請求を行うことができます。
①遺贈による受遺者(遺言に基づき遺産を取得した相続人も含む)
②相続開始前1年以内になされた贈与による受贈者
③贈与の当事者双方が、遺留分権利者に損害を与えることを知った上で
行った贈与による受贈者(贈与の時期は問いません。)
④特別受益に該当する贈与による受贈者(贈与の時期は問いません)
※④は判例の見解です
また、受遺者・受贈者が、減殺請求の目的物を第三者に譲渡したときは、遺留分権利者にその価額を賠償しなければなりません。(ただし、譲受人が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合は、なお減殺請求をすることができます。)
そして、遺留分権利者が遺留分を侵害されているか否かについては、以下のとおり算定します。
~遺留分侵害額の算定式~
(上記②+③+④の額+相続開始時の財産-負債の総額)×各相続人の遺留分割合(Q10参照)-遺留分権利者が相続した財産の価額+遺留分権利者が負担する相続債務
なお、減殺請求の順番は、最初に「遺贈」、その次に「贈与」となります。
また、減殺請求権の行使期間(時効期間)ですが、遺留分権利者が相続が開始したこと及び減殺すべき贈与(又は遺贈)があったことを知ってから1年以内となっています。
ただし、これらの事実を知らなくても、相続開始後10年を経過してしまうと減殺請求権を行使できなくなります。
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Q12 遺言書がない場合、どのように遺産を分割すればよいですか。遺産分割はいつまでにしなければなりませんか。
A 相続人が複数名おり、遺言書もない場合は、法定相続分に応じて遺産を分割するため、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議をする前提として、相続人及び分割の対象となる相続財産を確定させる必要があります。
更に相続財産については、その価格を決定する必要があります。この価格の評価時点は遺産分割時とすべきですが、評価方法は決まっていませんので、相続人間で客観的な資料を持ち合うなどして価格を決めていくことになります。
なお、遺産分割協議に参加する相続人は相続権を有する相続人全員であり、遺産分割を行うべき時期については、法律上特に規定されていません。
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Q13 遺産分割の対象となる財産が被相続人の自宅の土地・建物しかありません。この不動産自体を相続したいとは思っていないのですが、金銭で相続することはできませんか。
A 遺産が不動産しかないような場合で、相続人がこの不動産の価格のうち法定相続分相当額を金銭で受領したいときは、以下のような分割方法をとることができます。
① 換価分割 当該不動産を売却して、売却金額を相続人で分配する方法。
② 代償分割 当該不動産を特定の相続人に相続させ、当該相続人が他の相続人に対し、当該不動産の法定相続分相当額等を金銭で支払う方法。
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Q14 遺産分割協議が調わない場合の裁判手続は、どのようになっていますか。
A 話し合いによる遺産分割協議がまとまらないときは、原則的に家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。
申立人は、共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人等で、相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます。
ところで、調停手続が不調に終わった場合、調停手続から審判手続に移行することになります。
審判に移行した際、寄与分を主張したい相続人が寄与分を定める審判を申し立てないときは、当該遺産分割の審判では、寄与分が考慮されないことになりますので、注意が必要です。
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